差押えるこののできない借金
借金が膨らみ、返済できない、もしくは返済する気が無い債務者をそのままにしておくと、債権者の権利が失われることになりかねません。そ
こで債権者の権利保護のために、裁判所は債務者の財産を差し押さえることができます。債権者の訴えによって、民事執行法に基づき差押を執行しますが、債務者の生活を保護する観点から、差押をすることができない債権が民事執行法で定められています。これを差押禁止債権と言います。
差押禁止債権には、破産手続開始後に取得した財産、99万円以下の現金、法律上差し押さえが禁止されている財産の3種類があります。破産手続を行ってから貰った給料は法律上は自由に使うことができます。ひとまず99万円あれば当座の生活はできるでしょう。
法律上差し押さえが禁止されている財産には様々な種類があります。いくつか列挙しますと、「債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および建具」「一月間の生活に必要な食料および燃料」「標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して定める額の金銭」などです。家電については1種類につき原則1点まで対象になります。
他にも農業や物づくりを行うのに必要な道具類、位牌など祭祀に関係するもの、日記、商売の帳簿、勉強道具などがあります。さらに、国民年金や厚生年金、災害補償手当の受給権、退職手当なども差押禁止債権に定められています。ただし退職手当については4分の3まで保護されます。
差押禁止債権を定めるのは債務者の保護が目的です。いくら借金のカタとは言っても債務者の生活を直接的に脅かすような行為は許されず、債権者の保護よりも優先されます。
ただし、高級な家電や数十万するアンティーク家具など一般に贅沢品と呼ばれるものについては換金して安いものに買い替えさせるという判断がなされるケースがありますので注意が必要です。実際にここまでの状況になる前に借金問題を解決したいものです。